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県内語り部講話 2月開催報告

3.11を学ぶ

 2月は県内語り部プロジェクトとして、「いわぬま震災語り部ガイド」渡邉良子さん、「一般社団法人 南三陸町観光協会」及川和人さん、「一般社団法人 閖上の記憶」丹野祐子さんをお招きして実施させていただきました。

●第11回 いわぬま震災語り部ガイド 渡邉良子さん

 

 岩沼市沿岸部の被災状況や被災体験から得た教訓を、当時の写真や手書きのメッセージを用いてお話しいただきました。

 チリ地震の際には堤防を越えず、大きな被害がなかったこと、貞山堀があるから大丈夫と過信していた住民が多かったこと、自身のご兄弟が津波の犠牲になった際の心情も紹介され、何より逃げること・常に備えることの重要性を訴えました。

 震災後、他の地域では「震災がれき」を別の場所へ運ぶことが多い一方で、岩沼市では「みんなの宝物を集めて丘にしよう」と千年希望の丘がつくられました。渡邉さんが現地で語り部ガイドをつづける中で、津波に流され助かった方から当時の被災体験談を聞く機会があり、「ずっと心にしまっていたけど、語り部さん、俺の代わりに絶対逃げろって伝えてけろ」と託されたお話も紹介されました。 

 参加者より、備えの大切さを感じたという声や、仙台市の方からは「中学生のときに震災があり、今までは現実を見るのがこわく、現地に行ったり映画を見るのを避けてきたが、これからは向き合ってみようと思う」という声もありました。

 

●第12回 一般社団法人 南三陸町観光協会  及川和人さん

 及川さんは、2009年にUターンで地元に戻り、南三陸町観光協会に務められていましたが、1年半ほどで発災。小高い山に逃げたあとも、より高いところへと周りの人とともに避難したと話します。

 「もう観光の仕事などできないのではないか」と感じた当時の心境から、その後、地元の方たちとともに取り組んだ語り部プログラムを紹介いただきました。悲しい体験を語ってもらうことに悩みながらも、県外からの「知りたい」に応える一方、地域の方からは批判を受けることもあったと話します。そのような中で、震災後3か月で語り部の方々と協議し指標をつくりあげ、震災学習を取り入れた観光プログラムを確立してこられました。

 まちあるき等のガイドだけではなく、震災1日後の疑似体験プログラムやオンラインにも力をそそぎ、来年度開設される予定の南三陸町の伝承館では、展示に頼らないワークショップ等を取り入れたラーニングプログラムを展開されるとのこと。参加者の方からは「ぜひ行ってみたい」という声が寄せられました。

 

●第13回 一般社団法人 閖上の記憶 丹野祐子さん

 もともと仙台市出身で、結婚を機に閖上に移り住んだ丹野さん。講話では、当時の情景や心情を詳細に紹介され、閖上でのかつての日常から、義両親と息子さんが犠牲になってしまった震災時の様子が目に浮かぶようで、参加者の皆さんは吸い込まれるような面持ちでした。

 ラジオや携帯から情報を得た人から「津波が来る」ということは耳に入っていたが、「閖上は貞山堀があるから大丈夫」と思ってしまったこと、ご家族に避難を促さなかったことに対する後悔。自身の経験を伝えることで、「こうなってはいけない」と知ってほしいと強く訴えてくださいました。

 優しい語りでありながら、ひとつひとつに想いがこめられた言葉は、心に強く残る講話で、参加者からは、次世代への継承の重要性を感じたという声が多く寄せられました。丹野さんからの「今は震災後ではなく、次の震災前です」という言葉を受け止め、災害が自分事になった機会をいただけたのではないでしょうか。

 

 県内語り部講話、今年度残すところあと2回となりました。来月は「一般社団法人ふらむ名取」格井直光さん、「一般社団法人 女川町観光協会」阿部真紀子さんに登壇いただきます。詳細は下記スケジュールをご覧くださいませ。

https://311support.com/wp2/project2021schedule