認定NPO法人「杜の伝言板ゆるる」主催の「NPOで高校生の夏ボラ体験2022」で当団体に応募してくれた石巻圏の高校生3名がボランティアとして3日間活躍しました。今回の活動を通じてそれぞれが思ったことを記事にまとめてくれました。
【石巻好文館高校 2年生 佐藤暖華 1日目】
1日目は午前中に語り部さんのお話を聞きました。午後からは南浜・門脇地区でフィールドワークをし、その後オリエンテーションをしました。
午前中の語り部さんのお話では避難所での生活や、震災後のマスメディアとの関わりを聞きました。避難所にマスメディアの取材が来てくださり、新聞やテレビで放送されたことによって、避難所にいた方の生活が少しずつ楽になったと聞きました。小学生が取材されたとき、「画用紙とクレヨンがあればみんなで仲良く遊べる。」と語ったことを放送されたことで、宮城県内の方々からたくさんの画用紙やクレヨン、折り紙が届いたというお話を聞き、とても心が温まりました。一方で、取材されたときは必要であったものが放送されたときには必要でなくなっていたなど、実際の様子とは異なる報道に困ったり傷ついた経験があったと語っていました。
午後のフィールドワークでは、3つの伝承館や「がんばろう!石巻」の看板だけでなく、聖人堀や北向き地蔵など、震災前の南浜・門脇地区のお話も聞きました。以前はあったものが現在は目に見えないということに実感が湧きませんでした。今と昔の南浜・門脇地区を同時に知ったことで2日目、3日目に繋がる知識をつけることができました。
その後のオリエンテーションでは震災前は青年海外協力隊で活動していた方のお話を聞きました。自身の経験や震災直後のボランティアさんの活躍、NPO団体の活動などを質問やクイズ形式で話してくださり、とても勉強になりました。
今回のボランティアの経験を通して、震災について知ることの重要性を学びました。知ることや、それを共有することで災害があったときに動くための第一歩を正しく踏み出せると思いました。これからは今回の経験を生かし、周りの人に伝えるということを続けていきたいと思います。
【石巻市立桜坂高校 1年生 木村藍梨 2日目】
夏ボラ体験二日目は、午前中に南浜・門脇地区に住んでいる人から思い出についてインタビューをしました。一日目に震災前の街並みなどスタッフの福田さんが案内してくださりそれをもとに質問を考え、会話をしました。震災前、門脇地区や南浜地区は家や商店街、飲食店などがたくさんあり昔はSLも通っていたらしく子供の頃はよく線路にくぎを置いて列車につぶしてもらい手裏剣を作ってたりなどまた、列車が通らないとき線路に耳を当てよく音などを聞いていたそうです。そしてこの日一番驚いたことは、ここの地区のお祭りでおみこしを担いで町を回るらしく大きいおみこしだったため町を回るときは、台車などを使い100人がかりで持ち上げ町を回ったそうです。このように地域の人に直接話を聞いたり話をする機会がないためいい経験ができたとおもいます。
午後からは、三日目の解説の練習をしました。福田さんがお手本として館内全部の展示や資料を解説し、それから部屋ごとに区切り三人でそれぞれ開設の練習などしました。初対面の人の前で話す事を学校などでもしたことが無く、原稿もない中やったので口と頭が思うように回りませんでした。この解説というボランティアをやる前とやった後の印象が変わりました。やる前は、ただ説明するだけでしょとか思っていて実際にやってみると言葉や表現の仕方やお客さんに分かりやすくまた、表情を見ながら話すなど気を付けなければいけないことがたくさんあり思った以上に大変でした。解説する内容がまとまったら夏ボラに参加しているほかの高校生と改善点を話し合い三日目の予行練習をしました。高校生同士年齢が近いという事もあり緊張しないと思いましたがそんなことはなく緊張して考えた解説の内容が頭から飛んでしまいましたが自分にとってはいい経験になったと思います。
【石巻好文館高校 3年生 千葉しおり 3日目】
三日目の午前中は実際に展示などを見に来てくださったお客様に向けて紹介や説明をしました。十人ほどのお客様に解説を行い、中には子どもを連れて家族ぐるみで遠くから来てくださった方も見られました。このような貴重な機会を今まで自分に設けられたことが少なく、かなり不慣れだったので、解説の仕方や予備知識が少し不十分なのを補いつつ言いたいことがきちんと伝わるように意識しながら説明を行いました。
私は「子ども防災学習コーナー」の解説を担当しました。ほかのコーナーとは少し毛色が違い、震災そのものの悲惨さを伝えるのを目的としているのではなく、万が一震災が起きてしまったとき、自分たちには何ができるか、どう行動するべきなのかを考えるエリアです。私たちはどのように震災に備えることができるのか、また、そういったことをどのようにお客様に、未来に伝えられるか、といったことに念頭を置きながら説明をしました。
来館してくださった人は資料や映像などの展示物を通して、当時の状況を伝えるものや、かつてあったもの、そこにいた人に触れていました。興味深そうに私の説明を展示を見ながら聞いてくださり、最後に「ありがとう、勉強になりました。」と声をかけてくださったときは、説明するとき考えていた、「どうすれば未来に繋げられるか」を相手に理解していただけた気がしてとても嬉しかったです。
今回は色々な人が館内を見学に来てくださいました。災害が起きた当時のことを知っている人、その場にいなかった人、記録でしか見たことがない人など様々です。いずれも来館しに来てくださった方が、「風化させてはいけない。昔こういうことがあって大変だった、という話のみで終わらせてはいけない。」という気持ちをもって、私が今日ここで説明したことが輪となって、未来の世代に伝わっていくことを願っています。
3日間のボランティア活動を通して、高校生の皆さん自身が小さい頃に経験した東日本大震災への理解を深めるきっかけになったと思います。また、来館された方に自身の言葉で館内の説明をしたことで、若い世代が担うこれからの震災伝承について考える機会になったのではなったようです。中にはこれからも自分と震災の関わり方を積極的に模索したいという高校生もいました。
3.11みらいサポートでは震災伝承に関わりたいという方を随時募集しています。あなたも東日本大震災の学びや気付きを伝える手助けをしてみませんか?いつでもMEET門脇で皆さんのお越しをお待ちしております。