東日本大震災の被災各地で行われえている伝承活動について、少しでも理解を深めるため、震災伝承ケーススタディ報告書を作成しました。
以上の5章により、東日本大震災後の基本方針や自治体の基本計画における震災伝承の位置づけから、阪神・淡路大震災および中越の事例紹介、震災伝承活動の現状把握、そして、公助と共助が補完し合う伝承体制の必要性を報告しています。
「語り部」などの震災学習を行っている団体のリスト化、参加者推移の可視化を試みており、宮城県で語り部等に参加いただいた方は2013年をピークに減少していますが、2018年に増加している団体があることもわかりました。
報告書作成後にも複数の伝承施設がオープンしており、本調査時には集計に含めることができなかった活動についても、随時アップデートしてゆく予定です。
復興庁は10年の期限付き機関であり、2021年度以降の後継組織が議論されています。復興基本方針には「逃げることを前提とした地域づくり」が掲げられていますが、震災5年後の会計検査院の検証においては、”ハード”と比較した”ソフト”事業に配分された事業費の比較が報告されており、今後はソフト面に着目した取り組みが重要な役割を担ってくると考えられます。
南海トラフ地震はいつか必ず起きるとされている災害ですが、最大の想定死者数は23万人、東日本大震災における直接死者数の10倍以上です。
ただ、即時避難などのソフト面の対策によりこの23万人の想定から4.6万人に減らすことが可能とのこと、3.11の教訓が日本各地に伝わることで少しでも多くの命が救われることを願って活動を続けてゆきます。
※本ケーススタディ調査は、復興庁被災者支援コーディネート事業の資金により、三菱総合研究所の再委託により実施しました。
貴重な現状データを共有いただいた17施設、17団体のほか、関係者のご理解とご協力に、改めて感謝申し上げます。
今回の調査では、宮城県の施設・団体が大半になってしまいましたが、今後、岩手・福島の方々からもご協力をいただき、東北沿岸被災地での伝承活動の概要を把握できるよう、努力してまいりたいと考えております。
本報告書の文責は当会にあり、ご意見やお問い合わせ事項等がありましたら、3.11みらいサポートへご連絡いただければ幸いです。