今年も宮城県石巻西高等学校1年生の生徒達がMEET門脇の展示ガイドに挑戦してくれました。
一般財団法人「街とひとと」がコーディネートしてくださり、石巻圏域の約40のNPO・NGO、企業などが出した課題に生徒が挑戦する「街ミッション」。当団体が出したミッション・「MEET門脇の来訪者に東日本大震災について案内してみよう!」には、様々な思いを持った4名の生徒さんが参加してくれました。
案内エリアを4つに分け2日間の準備を経て、雨がふり寒い日となりましたが最終日に7名の来館者へガイドすることができました。自分の家族の体験や少し残っている自分の記憶なども織り交ぜながらの展示ガイドは、お越しくださった方々の心に届いたようで、終了後「本当に考えさせられました」と言ってくださる方もいらっしゃいました。
この企画の最後には「なぜこのミッションを選んだのか」「来館者へガイドした感想」「新しい発見」をキーワードにブログを作成。生徒達が3日間「震災の事を伝える」ことに対して何を思い、自分の中で変化したことなども書かれていますので、ぜひご覧ください。
●後藤日々煌さん
実は私はMEET門脇さんは第二希望でした。第一希望に真壁病院さんを選んでいました。私は将来看護師になるという夢がありその夢に近いのは真壁病院さんだと思い第一希望にしましたが希望は通りませんでした。ですがMEET門脇さんでは、震災時看護師さんたちがどのような行動をとっていたのか、どんな活動をしていたのかを知れる良い機会だと知りとても楽しみになりました。他にもニュースで知れない詳しい内容や被害状況、今はどんな取り組みをしているのかも気になりました。
MEET門脇の案内をしてみての感想は思っていたよりもスムーズに進みました。練習の時は、抜けているところや覚えられていないとこが目立ちましたがいざ本番になると最初とは違い抜けているところや目立つミスもなくスムーズに進行できていました。それに伴い震災のことを来訪者の方々に自分が知っていることやMEET門脇に来て学んだことをしっかりと伝えられました。
この3日間で学んだことは沢山ありましたが、その中で私が驚いたことは震災でで亡くなった方の大切なものがMEET門脇に展示されていることでした。よくニュースなどで見かけるものですが自分の目で見たのは初めてでした。やはりというか分かっていたのですが、映像で見るのと自分の目で見るのでは悲惨さが違いました。
その提供されているものの近くには、生きている遺族の思いなどが書かれており何か自分の心にくるものがありました。その中には「震災はこんなにも恐ろしいし大切なものを奪っていくんだぞ」というメッセージじみたものを感じることのできるものもありました。
私はこの3日間で震災に対する見方が大きく変わりました。最初はあまり自分事と思っていませんでしたが、この3日間を通して自分にも関係しているところがあるという意識に変わりました。今だとここに来てよっかたと思えます。この3日間震災とても貴重なお話や体験をさせていただき本当にありがとうございました。
●阿部凛人さん
僕は3歳の時に被災しました。震災当時の記憶はあまりありませんが道路に水が流れ込んだことや家族と一緒に逃げていたことは覚えています。中学生の時に震災のことを家族から聞き、学校でも震災の講談を聞きましたがそれだけでは足りないと感じ、改めて震災のことについて知るためにこのミッションを選びました。
発表をしてみてより震災のことを新たに知り、展示されてあった物にも深い思いがあったのだと分かりました。僕は地域の人々の遺品を展示するコーナーを担当しました。それを発表していくうちに普段は何気なく聞いていた震災の状況が思い浮かび震災の本当の恐ろしさを知ったような気分になりました。
3日間の活動は本当にためになったと思います。この活動で得たことは想定内のことで物事を済ませてはならないことです。震災のことを聞くと「ここなら津波は来ない」というような想定のことだけで済ませたことで被害が大きかったと聞きました。震災のことでの失敗は日常でも使えると思ったのでこれからも気を付けたいです。
最後になりますがお忙しい中、充実した体験を行ってくださりありがとうございました。
●南舘優生さん
私がこのmeet門脇のミッションを選んだ理由は、将来消防士になるために、東日本大震災でどのような行動をして人々を助けたのか、そしてその様な災害があったときにどんな行動をするのが正解なのかを知るためにここを選びました。
ここで震災のことを発表してみて私は、震災の時には沢山の不安やの困難がありその不安や困難の形は1つではないと感じました。ここで説明しているとこれからにつながなければならないと、たくさんの被災した方々の思いや願いを背負っているようで責任感などがあり、説明しているほうもされているほうもとても重みのある発表になりました。
この3日間で得られた新しい発見は2つあり、避難方法に正解はないということと、震災がきっかけで結ばれた縁もあったということです。初めにも話したように災害があったときどんな行動をするのが正解か知りたいという理由で来たのですが、その答えは、正解はない、ただし不正解はあるということを発見しました。これはしてはいけないことは、「お、は、し、も」などのように目立つのですが、これをしなさいというのはあまり聞かないと、ここにきて改めて発見できました。
2つ目の震災がきっかけで結ばれた縁については、meet門脇にある本棚にはもちろん震災のことや防災のことについて書かれた本があるのですが、その中に震災後について撮った写真集がありました。それは震災後でも他県から来た支援の人と仲良くなった写真で新たな発見になりました。
●土井忠正さん
僕自身、3歳のときに被災しました。当時の記憶はないことに等しいですが、大きな揺れがあったことは微かに覚えています。住んでいた家は津波によって倒壊し、現在は住むことができない区域になっています。そんな自分自身が高校1年生になって、改めて石巻に生まれた一人として知っておくべきことなのではと思い、このミッションを選びました。
実際にお客様に対して館内を案内するのは、多少の抵抗がありましたが、自分の言葉で伝えたことが、今後の防災に繋がれば良いなと思っています。拙い部分もありましたが、聞いてくれた方々のこの地域に対する興味を持つきっかけなどになれば幸いです。
3日間の活動は沢山の事を知るきっかけになったと思います。学校行事の一環として活動を行いましたが、やはりこの事業所さんを選んで良かったです。ニュースや記事などで触れることがあっても、実際に来ないとわからないことがたくさんでした。門脇小学校は当時の悲惨な状況は見学した自分に震災の脅威を訴えかけているような気がしました。周辺の公園を案内してもらった際には、綺麗な整備がされていて素敵な場所だなと思いましたが、資料や映像を見ると、そこにはきっと今もあるはずだった、多くに人たちの家庭が存在していたことを思い知らされました。
今後、小学校、中学校に進学する子どもたちは、震災を経験していない、知らない子も居るでしょう。そうなった際に自分たちの世代が、多少の記憶を頼りに、また家族から聞いたことなどを後世に伝えなくてはいけないと強く思いました。少しの力にもなることはできないかもしれないけれど、これからの石巻を生きる者として、可能な限りの努力をしていきたいと思います。
最後になりますが、充実した活動を支援してくれた多くの方に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。