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語り部が伝える「行動すれば助かる未来」

3.11を学ぶ

日本海溝地震と南海トラフ地震、いまのままでは逃げられない

2021年12月に中央防災会議より日本海溝地震・千島海溝地震の想定が発表され、最大で19.9万人もの死者が予想されるため、毎日新聞の記事でも、即時避難の必要性をコメントさせていただきました。

東日本大震災の被害(直接死15,899人、行方不明2,526人:警察庁発表)と比べても10倍規模の想定ですが、迅速に避難をすれば19.9万人から3万人に減らせるとされています。

(令和3年12月21日中央防災会議「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について【定量的な被害量】」p.35より引用)

これまで、繰り返し危険性が指摘されてきた南海トラフ地震は、最大死者23万1000人の巨大災害。そのうち津波による死者想定は16万人ですが、「全員が発災後すぐに避難を開始(避難の迅速化)」を実現することで、半分以下の7万人まで減らせるとされています。


(令和元年6月内閣府政策統括官 (防災担当)「南海トラフ巨大地震の被害想定について 建物 被害 ・人的被害」p.32より引用)

ただし、この被害想定における「避難の迅速化」は、冬季深夜に、発災後10分以内(日本海溝地震の場合は防寒服を着用する+2分を見込んで12分以内)に、津波到達地域の「全員」が避難することを指しています。

深く寝入っている時間帯に10分以内に避難開始、できるでしょうか?
あるいは、もっと早く行動するができるでしょうか?

あの時、山に向かえなかった私たち

2011年3月11日のあの時、石巻市南浜・門脇にいらっしゃった100名から詳細な避難行動を聞き取り、東北大学災害科学研究所と共同で、分析・可視化する「あの時プロジェクト」を進めています。

この地区には震災前、およそ1,700世帯が暮らしていましたが、7mに達する津波とその後起きた火災により、死者389名、行方不明150名という甚大な被害を受けました。一方、地震発生から津波到達までは1時間弱のタイムラグがあったので、日和山(以下動画の画面情報緑色部分)に避難すれば助かっていました。

 家の片付けを続けたり(紫色)、家族のために戻ったり(水色)した方の行動から、3.11のあの時、この場所では、「10分以内に全員が避難」は出来ていなかった実状が示されていますが、同時に、この地域内の門脇小学校の児童たちが山に避難したことで、保護者や地域の方々の行動を促す「避難の連鎖」が起きており、今後の私たちの行動次第で、自分や大切な人の命を救える希望を示しています。

(100名の避難行動や「避難の連鎖」は2021年3月6日のNHKスペシャル「津波避難 何か生死を分けたのか」でも取り上げていただきました。)

被災地視察や語り部を通じた意識の変化

語り部から被災体験を聞かれた方や石巻を訪れた方が、口をそろえて
「話を聞かなければわからなかった」
「ここに来て初めてわかった」
と仰ってくださいます。

 地震が起き、津波が発生する地球の大きな営みを人の手で止めることはできませんが、私たちが行動すれば救える命があります。「皆で助かったね」と安全な場所でで笑い合える未来を目指して、今、準備を進めることができるのではないでしょうか?

3.11を経験した皆さんは、次の災害から一人でも多くの命を救うため、防災学習や避難訓練などに取り組まれているかと思います。
次の災害を「想定外」にしてしまわないよう、被災地訪問や、語り部による実体験の共有、体験学習等をご検討の方は、ご希望にあわせてサポートさせていただきますので「語り部の申し込み」をご参照の上、お問い合わせください。