カテゴリー:3.11を学ぶ

文科省研修)全国の先生方を石巻にお迎えいたしました

 1月26日、「令和4年度文部科学省学校安全指導者研修会」が石巻市震災遺構門脇小・同大川小・河北総合センタービッグバンにて行われ、講師の方々との調整、バス手配、門脇小のガイド・会場設営等で3.11メモリアルネットワークが携わる機会をいただきました。

この研修会は学校安全の推進に中核的な役割を果たす教職員を対象としたもので、文部科学省としての初めての対面研修の場として、石巻で皆さまをお迎えすることができました。北は北海道から南は鹿児島県まで、33の都道府県から合計90名もの先生方に、現場での学びを深めていただきました。

 門脇小学校では、震災当時同校で教鞭をとられていた相沢進先生・本田秀一先生にご講話いただき、グループごとに弊団体のスタッフが遺構として整備された門脇小の校舎内を案内いたしました。3.11当日、門脇小に残り多くの「避難の連鎖」の声かけをされた相沢先生からは、あの日の避難の実情や震災後校長として取り組まれている防災教育についてお話をいただきました。本田先生は、発災時ご自身がおられた3年2組の教室前で、津波火災の爪痕がまざまざと残る様子を紹介しながら、避難訓練通りだったこと、訓練通りにいかなかったことについて、児童と過ごした不安な時間の紹介とともにお話しくださいました。

  午後には、先生方は大川小学校を訪問されました。大川小学校では、大川伝承の会の佐藤敏郎さんと永沼悠斗さんから、あの日に何があったのか、校舎にどんな思い出があったのか、そして、命を守るため私たちに何ができるのか、お一人おひとりの先生方に問いかけるようなお話しをいただきました。あの日と同じく雪の降るなかでの語りに、参加された先生からは、「まずは自分の学校から始めます。あの瞬間を繰り返さないようにします。」といった想いあふれるご感想をいただきました。
 

 研修の第三部は、河北総合センタービッグバンを会場に、東松島市立矢本第一中学校長の平塚真一郎先生からのご講話と、グループごとのワークショプが行われました。

平塚先生は、娘さんを亡くされた一父親としての思い、会場の先生方と立場を同じくする一教員としての思い、その双方を踏まえ「他人事を自分事に」、と力強く語ってくださいました。ワークショップでは、この研修会の学びをそれぞれの学校や地域での実践にどうつなげるか、活発な意見交流がなされました。早速「自分事」として防災、そして生徒及びご自身の命を守るということと真剣に向き合われる先生方のご様子が印象的でした。

 

 石巻を舞台に貴重な学びの機会を企画、主催くださった文部科学省のみなさま、ご多忙のなか講話を担当くださった相沢進先生・佐藤敏郎さん・永沼悠斗さん・平塚真一郎先生・本田秀一先生、至らない点をフォローしてくださった石巻市教育委員会、会場設営等ご協力くださった石巻市震災遺構門脇小・同大川小・ビッグバンのみなさま、そして、今季一番の寒波が押し寄せるなかで石巻を訪問くださった全国の先生方、本当にありがとうございました。

発災から12年弱が経過し、東日本大震災が取り上げられる機会も減少しつつある中で、このように約100名の先生方を全国から迎えできたことは大変意義深いことと考えております。

「自分事にしなければならないと強く思った」、「まずは、若い先生たちに今回聞いたお話を伝えたい」、「今回の研修を何年か継続して、全国で多くの人に受講していただきたい」などの感想をいただいています。東北被災各地で様々な伝承活動が行われていますので、ここを一つの新たなスタート地点として、震災学習・防災教育に関心を持ったり、訪問をいただく契機となれば、大変ありがたいです。

次の災害から一つでも多くの命を守れるよう、今後ともこのような学びの機会を設け、一層発展させられるよう努めて参ります。

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