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高校生による伝承ガイド「まきボラ2026夏」

伝承を支える

今年も、県内高校生が地域で様々なボランティア活動に取り組む「まきボラ2026夏」が実施されました。

※まきボラの詳細はこちら

3.11メモリアルネットワークでは、8月6日(木)から8日(土)までの3日間、3名の高校生を迎えて、MEET門脇での伝承ガイドに挑戦してもらいました。ご案内したお客様は3組11名、岐阜や長野からのご家族、そして岩手県洋野町で震災を経験された方にもガイドを聞いていただきました。

今回伝承ガイドに挑戦してくれた3人は、2011年当時は1歳ほど。生まれてはいたものの自分自身の記憶はありません。その中でも、「震災を経験した最後の世代として、伝承する責任がある」と、力強くチャレンジしてくれました。

最後の振り返りのミーティングでは、石巻に対するイメージも変わった、勇気をもって一歩踏み出すことで新しい自分に出会えることが分かったと、自分自身の変化や学びを共有してくれた彼女たち。

3日間の挑戦を通して気付いた自身の変化、新たに考えたこと、学びをレポートにまとめてもらいました。
長文になりますが、ぜひお読みください。


石巻高校 水野茉緒さん

私が今回、3.11メモリアルネットワークの震災ガイドのボランティアに参加した理由は、私が震災の年に生まれたからです。私は2010年に生まれ、復興と共に育ってきました。震災を経験した最後の世代なので、伝承していく責任があると思い、記憶がなくても伝えられることが分かったので挑戦してみようと思いました。

今回私は、震災遺構や伝承館で実際のガイドを聞き、最終日に実際にガイドをしました。情報を入れる際には、今まで知らなかったことがとても詳しく分かり、門脇小学校については火災があった、閉校したという暗い、悲しいといった印象から、縦割り活動が活発だった、生徒同士の仲が良かったという明るい、楽しいといった印象を持つようになりました。ガイドを通して、私の話をじっくり丁寧に聞いてくれて、「もっと話したい」「もっと知ってほしい」と思い、自分のガイドをよりよくブラッシュアップしていくことができました。震災で被害を受けた場所に足を踏み入れ、自分の目で見てみることで、もっと深めたいという感情につながったのだと思います。

また、震災を経験した人は限られているため、今後の災害に備えていくためには、経験していない若い世代が聞いて、それらを再び起こして自分の言葉にして「伝える」という行動が必要であると分かりました。今回それを担う人になり、今までの自分の立場だと避けていたもの(震災遺構)に近づくことができました。

やはり、今まで壁を感じていたものに一歩勇気を出して入ってみる、受け身だったものに自分から動いてみるということが大切だなと感じました。そうすることで、多くの学びが得られるし、新しい自分に出会えることが分かりました。これからは、やりたいと思ったことを、家から出て、自分の足で行き、目で見て、実際に体験してみようと思います。

 


石巻高校 大石凪紗さん

まず、このボランティアを選んだ理由は、震災という繊細な話から目を背けるのではなく、せっかく毎年学校に震災伝承に来てくれる人がおり、震災について学べる環境が整っているのだから、私もしっかりと向き合い、後世に伝えていく必要があると思ったから応募しました。

最初参加する時は自分の熱量が足りていないのではないか、震災の記憶がない私が人に伝えてもいいのかなど、不安でいっぱいでした。だけど、伝承館や門脇小学校を訪れたり、近藤さんのお話を聞いて、そんなこと考えている場合じゃなくなりました。自分の今までの東日本大震災に対するイメージと実際に起きていたこと、そこに住んでいた人の心情などがズレていることに気づき、驚きでいっぱいの3日間でした。

被災者の方の「もっと早く高台に逃げればよかった」や、「家族と地震が起きる前に避難場所などを話しておけばよかった」などの言葉が印象に残っています。2日目に、近藤さんのお話を伺って、この地域は悲しみだけの場所ではなく、地震が来る前は楽しい思い出に溢れていた場所なんだと知ることができ、一気に親近感が湧きました。門脇小学校は命がたくさん繋がれた場所だと知り、そんな場所に行けてよかったなと思いました。そう思えるきっかけをくれた近藤さんには感謝しかないです。

ただやっぱり綺麗な話だけじゃなく、たくさんの人が亡くなっていて、家族を亡くしたした人の話などを聞くとどうしても暗い気持ちになりました。こんな気持ちになる人が一人でも減らすために辛くても伝え続けなくてはいけないと思いました。

当日、ガイドをするとそれぞれ異なる環境から来た人が聴きに来てくれて、中には涙を流しながら聞いてくれる人がいました。原稿準備の段階から目標である「自分の言葉に落とし込んで伝える」を意識して原稿を書いたので、自分の伝えたいことがしっかりと伝わって、なんだか嬉しい気持ちになりました。それに、挑戦してみてよかったなと感じました。

今までは人から聞いて、ただぼんやりと可哀想だなと思っていたのが、自分で実際に震災遺構を見て被災者の声を生で聞いて、本当に見方が変わったなと思いました。今までは三人称視点で見ていたものが急激に一人称になったように感じます。それゆえのキツさはどうしてもありますが後悔は全くしていないし、満足感はすごく高いです。


小牛田農林高校 松岡理乃さん

私がこのプログラムに参加した最大の理由は、東日本大震災について深く学びたいと考えたからです。私は震災当時の記憶がありません。さらに、これまでの学校生活などでも震災教育を深く受けてこなかった背景があります。そのため、どこか心の奥底で「本当に東日本大震災という大規模な災害がこの地で起こったのだろうか」と、ニュースの中の出来事のように捉え、信じきれていない自分がいました。だからこそ、最大の被災地である石巻の地に足を運び、自分の目で事実を確かめたいと思い参加しました。

活動では、地震と津波、そして津波火災による甚大な痕跡が残る門脇・南浜地区で震災について学び、被災体験のお話を伺いながらガイドを行いました。

今回の活動は、私の震災に対する認識や感情を大きく覆す3日間となりました。

それまでの私の震災に関する知識といえば、「客観的な事実や数字」ばかりをイメージしていました。しかし、被災した物や遺構を目の当たりにし、言葉を受け取る中で、それまで全員に当たり前にあった日常が一瞬にして奪われたことやその瞬間の決断、そして悲しみや後悔を抱えながらも、一人ひとりが懸命に命と経験を繋いでいるということを知ることができました。

学んだことを整理するうちに、それまで画面の向こう側にあった震災が、自分と同じ人間が直面した「自分ごと」として初めて胸に突き刺さり、私の感情は大きく揺さぶられました。「理解しているけど、言葉にできない。」そんなもどかしさのような感情で心が詰まるときもありました。いつしか、被災地を「遠い場所」「ただ悲しいことがあった場所」として捉える甘さは消え、今を生きる私たちがその痛みを共有し、未来へ繋ぐ責任があるのだと痛感しました。

学んだことや被災者の方の思いを自分の言葉でガイドするうちに、私は、「記憶がないから伝えられない」のではなく、「記憶がない世代だからこそ、先入観なく真摯に向き合い、伝えることができる」のだと思いました。 記憶を持たない私たちが何もしなければ、震災は風化し、過去の出来事として忘れ去られてしまいます。プログラムが終わった後、真っ先に、震災を知らない次の世代や、かつての私のように現実から目を背けている同年代へ、今回石巻で受け取った生の声を少しずつでも伝えていきたいと思いました。これからは、次の震災で同じような被害を受けないために、日頃からの防災意識を見つめ直し、自分にできることを考えながら生活していきたいと思います。


大学生インターン 石巻専修大学 佐野友紀さん

今回、サポーターとして考えたことは、被災していない人から被災していない人へのバトンパスということです。

これまで、私は3.11メモリアルネットワークのスタッフからガイドのやり方を教わることはありましたが、誰かに教えることはありませんでした。今回の活動を通して、私自身の「被災していない人から被災していない人に伝えること」について考えさせられました。特に、はなちゃん、けんとくんのランドセルや、あいりちゃんの思い出の品については、伝え方を一歩間違えれば、どんどん違う言葉として伝承されていってしまう。だからこそ、私も当事者の方からの言葉を大切にして伝えていかなければならないと感じました。

また、なによりも彼女たちの成長に感動しました。自分がガイドした言葉を彼女たちが自分の言葉に変換して他者に伝えていく過程、その過程を一緒に考えることができました。彼女たちも受け取る中で苦しみ、重くなり、きついという言葉もありました。しかし、その苦しみを彼女たちはきちんと受け取って自分の言葉にしました。その過程を見ることができたことがこれからの自分の自信にも繋がったし、何よりも自分が伝承できたという実感を持つことができました。

このような活動が、これからも続いていくこと。そして、自分が関わり、誰かが成長する過程を見守ることがこんなにもあたたかかいものなのだと、知ることができました。


今回まきボラで伝承ガイドに挑戦してくれた3人の高校生と佐野君、本当にありがとうございました!