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インターンシップ体験記3

私たちのこと

特定非営利活動法人桜ライン311の佐々木良麻(ささき りょうま)です。
人材育成事業の一環として、8月17日-31日の期間でインターンをさせていただきました。

●桜ライン311と私について
桜ライン311
桜ライン311は、岩手県陸前高田市で活動しているNPOです。東日本大震災を契機として活動を始めた団体で、津波の最高到達点に桜を植樹し、1000年近く生きる桜を通じて、津波の記憶を後世に語り継ぐことを目的として活動しています。桜の植樹はどなたでも参加できる形式をとっており、市民参加型のまちづくりと、実際の津波最高到達点に立つという体感型の防災教育の場として運営しています。
https://www.sakura-line311.org/

私は、陸前高田市で生まれ育ちました。2010年に神奈川県からUターンし、2011年3月11日は、仕事が休みで内陸部にある自宅におり、難を逃れました。しかしながら、海の近くにあった職場は、津波に飲まれ、多くの人が亡くなりました。その時から、「自分が生かされた意味」を考えるようになり、震災復興にかかわるようになりました。桜ライン311は2014年から勤めています。
今年度10月から事務局長に就任する予定となっており、事務局長に必要なスキルと「震災伝承」という共通のテーマへの取り組みを学ぶことを目的としてみらいサポート石巻へインターンをさせていただくこととなりました。

●石巻で見たもの、そして陸前高田
大川小

インターン初日、2日目に南浜つなぐ館と大川小学校の公開語り部を見学させていただきました。
南浜つなぐ館では、震災で亡くなった方の遺品展示に目を奪われました。焼け焦げた小さな上履き、お揃いだったリュック。そこに添えられたご遺族のメッセージには胸が詰まる思いがしました。
大川小学校では、公開語り部に参加をさせていただきました。この日は大川小学校を卒業した若者からもお話を聞かせていただくことができました。今は、「あの大川小学校」と呼ばれるようになってしまった悲劇の地には、他の小学生と変わらない日常があり、思い出があり、そして、友達がいたこと。遺構となった校舎だけではわからない、大川小学校の姿を教えていただきました。また、同時にその日常を一瞬で奪った津波の恐ろしさを伝える強烈なメッセージを感じました。

陸前高田市は、被災した市街地中心部を13mの盛り土をして新市街地を形成するという、他市にない大工事をおこなった街です。その影響で旧市街地にあった津波の脅威を伝える建物の多くは取り壊されてしまいました。
震災伝承館は行政によって建てられましたが、個人の想いを伝える展示はありません。
街は少しずつ整備されて、キレイな街並みが出来つつあります。「だけど、それでよかったのか?」という問いを石巻の民間伝承に突き付けられた気がしました。

●インターンで取り組んだこと
インターン中は3.11メモリアルネットワークの業務に関わらせていただきました。ご寄付をいただく窓口となるYahoo!ネット募金の更新を主な業務として取り組みました。南浜つなぐ館と大川小学校で受けた衝撃を言葉に表すのは非常に難しい作業でした。
桜ライン311では、活動がシンプルでわかりやすく、言葉に表現することはさほど難しいことではありません。しかしながら、3.11メモリアルネットワークが扱う語り部や民間伝承、そしてそのネットワークを作るという活動は、直接活動を体験していない方にその必要性を訴えるのが難しく、メッセージ作りに苦労しました。
語り部さんや伝承活動に関わる方の言葉を借りながら、多くの方に共感をいただけるメッセージを目指して作成させていただきましたので、ページが更新された際に私のインターンの成果を見ていただければと思います。

●結びに
今回のインターンでは、みらいサポート石巻のスタッフの皆さんはもちろん、市民レベルで伝承活動をしている方と繋がりを作ることができました。震災から7年が経過し、東日本大震災の風化が更に進んでいくこれからの時代に、いかに教訓を伝承し続けるか。それは、個人や団体という小さな単位では困難であると実感しています。そして、地域を超えて連携し、伝承のパワーを強めていくことが必要であると考えています。
その意味で、今回のインターンでの多くの出会いは非常に貴重なものでした。この出会いを大切にし、今後も連携しながら、次世代のための更なるアクションと多くの人への共感の獲得へと繋げていきたいと思います。
震災の教訓を伝え、同じ悲しみを繰り返さない世の中をつくる。それは、震災伝承に関わる者の共通の願いであり、震災でたまたま生き残った私の人生に与えられた使命でもあります。