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地元の高校生がMEET門脇のボランティアガイドに挑戦!

「石巻に来る沢山の人達と出会って新しい魅力を発見しよう!」と題した、高校生向け夏休みボランティア企画「まきボラ(主催:一般財団法人まちと人と)」の受入れが、本日(3日)無事に終了いたしました。

高校生4名は3日間で沢山の事を体験しました。メインは、民間の伝承施設「MEET門脇」のボランティアガイド。そのガイドに向けて、地域の人から震災前のお話を聞き、隣接する復興祈念公園や震災遺構 門脇小学校の見学もしました。最終日の午前中に開催したガイドでは、4組9名のお客様を案内。東京の中学生を皮切りに、愛媛県、奈良県、茨木県、そして石巻の方も熱心に耳を傾けてくださいました。その他、本日は客船(乗客約3,800名)が石巻に入港していたので、埠頭まで行きその大きさや沢山の人たちが出入りしている様子も見学。

 3日間で高校生が出会った人達は、ガイドの準備や本番も含めて40名(石巻、北海道、東京都、長野県、大阪府、奈良県、高知県、広島県・・・)。その他、客船の乗客&外国人クルーは数えきれないほどです。最後に4名の感想を掲載いたします。少し長くなりますが、ぜひご覧ください。

・蒔苗 美乃さん(高校2年生)

私は、東日本大震災で門脇地区が大きな被害を受けたことは知っていましたが、説明できるほど具体的には知りませんでした。

また、震災当時4歳だったということもあり、震災の記憶も途切れ途切れしかなく、家族やメディアを通して情報を得るしかありませんでした。それでも、私たちが普段何気なく住んでいるこのまちで、あれだけ大きな出来事があったとは信じがたかったです。そのため、今回、当時実際に門脇地区に住んでいて被害を受けた方のお話を聞いたり、周辺をあるいてみたりして、震災の恐ろしさを間近に感じることができました。

「MEET門脇」も今回訪れるのが初めてだったのですが、思い出の品や漫画の映像などが備わっていることに驚きました。それから、ボランティアガイドをするまで、たくさんの地方からこんなに多くの観光客が訪れているなんて思いもしませんでした。

ボランティアガイドを経験してみて、始めはうまく相手に伝えられるか不安でしたが、うなずきや相槌をうってくれたり、質問に答えてくださったりしたおかげで安心したし、真剣に話を聞いてくれて嬉しかったです。相手に伝えようという姿勢や分かりやすい文章を考える力が身につきました。

たくさんの地域の方々の思いを大切に、震災を伝承するための活動を行っているところに石巻の魅力を感じました。

3日間を通して、高校生の私たちが震災を経験していない人たち、他の地域の方々に伝えることは大切だと思いました。そして、どこに住んでいても“いつか”のために備えておくことは共通して大事なことだと思うので、市内の住民だけでなく、もっともっと多くの人たちの心に留めてもらいたいです。

この経験で吸収したたくさんのことを、私の将来にも生かしたいと思います。

・齋藤 伊吹さん(高校3年生)ボランティアガイドを体験して

今回、ボランティアガイドとしての体験は私にとって二回目のことでした。
二年前、高校一年生の時に初めてこの施設を訪れて、同じようにボランティアガイドとして活動をしました。高校三年生になった今、なぜまたここを訪れようと思ったのかというと、二年前に初めて震災について深く知り、石巻で生まれ育ち震災を経験したはずの自分の無知さを思い知り、もっと知りたい、知らなければならないと感じたからです。

また、ボランティアガイドを初めて体験し、自分の言葉で相手に行動したいと思ってもらえるまで伝える活動に対して魅力を感じ、もう一度ボランティアガイドとして活動をしてみたいと思ったからです。この体験は、ただ震災について知るだけではなく自分ならどう伝えるか、そして私の言葉を聞いた相手にどう伝わってほしいのかを考える貴重なものとなりました。

案内をしている時、強くうなずいてくださる方や私の目を見て話を聞いてくださる方、資料にくぎ付けになっている方や相槌を打ってくださる方が多くいらっしゃいました。

そこで、震災に関心を持ってあの時ここで何が起きたのかを知ろうとしてくれている人が多くいること、そして自分の言葉が相手に伝わることの嬉しさも感じました。

私自身、石巻で生まれ育った身として、震災について伝えていくことは一つの使命だと感じています。しかしそのために自分ができることへ踏み出せずに今まで生きてきたので、今回のボランティアガイドを通して今まで知らなかった具体的な知識が備わるとともに、未来のために自分が動き出すその一歩目を踏み出せたことが三日間を通しても自分の成長につながったと思っています。

・渡邉 真央さん(高校3年生)

私は、今回のボランティアを通して、色々な貴重な体験をしました。

まず一日目には、震災前の南浜の様子を実際に歩きながら教えていただきました。門脇小学校も見学し、当時の悲惨さを感じるとともに、時が止まっているように思えました。

二日目には、震災前は南浜町に住んでいた吉田さんのお話を伺いました。地元ではありながら、震災前の町の様子は知らなかったので、とても貴重なお話でした。特に、バッティングセンターや野球場、病院、米屋、酒屋などが揃っており、住民にとってとても過ごしやすく栄えた町であったことにとても驚きました。

そして三日目には、これまでの二日間で学んだことを活かし、MEET門脇のガイドの体験をしました。私は「子ども防災学習コーナー」のガイドを担当しました。少し緊張もしましたが、全国から訪れるお客様に震災の様子や被害、事前に避難方法について家族と話し合うことの重要性やこれから私たちがするべきことなどを、自分の体験もふまえながら自分の言葉で伝えることができてとても嬉しかったです。

また、ガイドをしていく中で、たくさんの気づきがありました。それはこれまでは、被災者の体験という大きなくくりで聞いていましたが、被災者一人一人が異なる体験していて、伝えたいこともそれぞれ違うということです。後日またこのような機会があった時には、そのようなことも伝えられるようにしたいです。ガイド体験を通して、震災の被害や様子だけではなく、これからの私たちにできることは何か、ということを考えるきっかけにもなりました。また、東日本大震災で起きたことを次の世代に伝承していくことの大切さも強く感じました。

今回のボランティアを通して、改めて石巻の魅力にも気づくことができました。石巻には全国各地からたくさんの人が訪れていることを初めて知りました。私が感じた石巻の魅力は、震災の被害からの復興です。MEET門脇もそうですが、門脇小学校を取り壊すのではなくあえて残して伝承していったり、南浜復興公園をつくったり新たな街づくりをしている石巻は本当にすごいなと感じています。また、復興だけではなく元気市場や石ノ森マンガ館などの観光の面においてもとても魅力的だと思います。

改めて、今回のボランティアを通して地元である石巻について理解を深めることができて本当によかったです。この体験を将来にも活かしていきたいと感じました。

・遠藤 然君(高校3年生)石巻の新たな一面

私は小学校2年の時に隣町から石巻に引っ越してきました。住んで10年以上になりますが、石巻の名物や観光地などは全く知りませんでした。石巻は震災の被災地であることは知っていても、具体的にはどのような復興活動を行っているのか、それに対して宮城県のみならず他県や海外の人たちはどのような関心を持っているのか、それについては全く知らないまま生活を送ってきました。

  しかし、今回のボランティアを通して被災前の南浜町の姿や住民の暮らしや、被災直後の当時の人たちの動き、どのような形で津波に巻き込まれたのか。そして震災から12年たった今でも県内や県外多くの人たちが震災の当時を伝える活動をしていること、県内の人だけでなく県外の人、はたまた海外の人たちまでMEET門脇に足を運んで震災を知ろうとしていることに驚きました。

  自然の力というのは私たち人々の想像をはるかに超えてきます。実際に地震の影響で津波が来るとわかっていても、高台に逃げられずに巻き込まれて犠牲になった人たちは大勢います。そんな歴史を繰り返さないためにも後世に伝えることはとても重要なことだと思います。この後世に伝えることは昔から行われていることで、例えば昔、洪水があった地域だとそれを伝えるために地域名として残すなど、形は違えど「伝える」こととしては同義だと思います。

  その伝える活動として、MEET門脇にある「思い出の品」が展示されているコーナーについて9名の方に説明をさせていただきました。思い出の品コーナーは遺族の方々の協力なしには難しいと思います。現在成立しているのは遺族の方々が後世に伝えようという「想い」があったからこそだと思います。私は心に傷を負った方たちでも必死に前を向いて進もうとする。そんな活気が石巻にはあると全体を通して気づかされました。 

 このボランティアでは、「知って伝える」というとても良い経験をさせていただきました。私の将来の夢は、人とのコミュニケーションが大事になってくる仕事なので今回の活動を生かせればなと思います。

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