懸命の復旧工事が進む石巻漁港一帯ですがかつては、北上川河口から東に渡波万石浦水道まで延々4㌔‶白砂青松″の浜でした。夏は海水浴客(湊側と渡波の2か所にあった)でにぎわいました。時折引かれる地引網漁で大人たちが‶アオばり(ばかり)だ″と騒いでいました。湊側の浜は比較的波が高く毎夏、溺れる子供がありました。しかし、その波に飛び込むのもまた子供たちのステータスでした。
今はすっかり漁港と加工団地に変貌し水産石巻の象徴地区です。一刻も早い復興を祈るばかり。平成27年春が一応の目安だそうです。
大正2年の海水浴場案内を見つけました。─牡鹿郡石巻町東長浜(渡波側)、延長150間、幅員50間、水温26度(気温との差0)、浪平均3尺5寸、深浅干潮時3尺、満潮時6尺2寸、海底純砂、泥土なし、看守人は干満の深浅、潮流の緩急、方向を明示、入浴5分~15分内が適当、休憩砂漠幅100間、平たんにしてすこぶる清潔、松林幅員70間余、町営海水浴場事務所を置く。備品は浴衣、帽子、単衣、ハンモークは無料貸付。麦湯を供す。売店あり。極めて廉価をもって酒食その他の需要に応ず。飯1膳2銭、酒1杯2銭、漬物1皿2銭。なお、本海岸には年中地引網を曳くゆえ浜汁という名物あり。網1回の引付料ふつう拾円なるも入浴者に限り特に5円にて網を引かすべく。漁獲物は全部依頼者の収穫にしてただちに料理し味噌汁となす─
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ついでに「マイルポスト」ってご存知? 写真がマイルポストです。GPSが普及するまで新造船の速度検査で活躍しました。「△帽子」が特徴です。
マイルポストは4本で1セット。「△帽子」のポールを海に向い水際と陸地部に間隔を置き直線上立てる。同様に他の2本を1マイル(約1.8㌔)先に立てる。新造船は沖から見て前後の「△帽子」が一つに重なる位置からスタートし、もう1組の「△帽子」が重なる地点まで要した航行時間を測って、船の速度性能を確かめたのです。石巻、もう一つの基幹産業「造船業」隆盛をしのぶ物です。
子供のころ、この役目を知ることもなく「△帽子」ポールの根元に服を脱ぎ弁当を置いて夏、波と戯れたのは私だけではありません。
漁港建設による潮流変化で渡波側海水浴場も結局、消滅。今は漁港に隣接し海浜公園が新たに造られました(ここで今夏は泳げるのでしょうか)