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続・まちあるき帖:「石巻タクシー事情」

私たちのこと

──日没までに5千円、午後8時現在7千円、午前零時1万円、同2時から帰社するころ1万2、3千円──(40年前の新聞スクラップ帳から)。これが東京都内を走っていたタクシーの標準的な水揚げだった。

ひるがえって現在、石巻のタクシー事情を駅前のタクシープールできくと…。「今もだいたいそんなもの」。40年前と同じ? 「だから若い運転手はやっていかれないの」。ということでタクシー会社は慢性的な運転手不足とか。「見なさい、年金を受給してやっと生活できているような運転手ばかりだろ」。

勤務は朝9時から夜8時までと、そのまま延びて翌朝9時まで乗る2部制。そして受け取る給料は(週40時間勤務)─。最低賃金制を前提にした基本給とプラス歩合給、時間外手当の内訳。その額は月の全水揚げの50㌫程度に結果的にはなるらしいが今、月40万円の水揚げを達成するのは相当厳しいらしい。

「ロング(長距離)客を拾えばだが、あってない。漁業が華やかだったころは、日本海側まで走ったこともあったが。今は一日2万円もおぼつかない」。ちなみに石巻駅から仙台駅まで走れば1万2、3千円だそうです。

石巻旧市内タクシー14社はそれでも、現在のお得意さんを大事に所有の車を遊ばせないないないように運転手さんをやりくり。「復興需要のお客さんもだいぶ影をひそめた。あとは地場の加工屋さんの復活を待ちたい」とはある社長。

「夜の若者3人組客は要警戒」と気になる一言も。「後ろに乗った2人が運転手に話しかけ、前の1人が隙を狙って運転手のかばんを奪う窃盗事件があった。「少ない水揚げを持っていかれては、それこそ泣きっ面に蜂だ」。

列車到着までしばし休憩。石巻駅前のタクシープール風景